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遠隔病理診断とは?病理医がいない病院や医院で病理診断を行う方法

近年、医師の中でも「病理医」の不足が深刻な問題となっています。病理医は患者様の病巣部や細胞、組織を顕微鏡等で観察して、どのような病気にかかっているかを診断する役目を持つ医師です。
アメリカでは「doctors doctor(医師のための医師)」と呼ばれるほど重要な役割を担っている医師ですが、年々不足してきているのが現状です。

そこで開発されたのが「遠隔病理診断」です。遠隔病理診断は、デジタル技術やインターネットを利用して、遠隔地の病理医でも診断ができるように構築された診断システムのことを指します。
この遠隔病理診断、実際にはどのようなものなのでしょうか。今回は遠隔病理診断の詳細や実際に遠隔病理診断を行う方法についてご紹介いたします。

遠隔病理診断とは?詳細について解説

従来の病理診断は、以下の方法で行われていました。

1.病巣部から採取してきた組織を固定し、パラフィンの中に組織を埋め込む
2.硬くなった状態で薄く切り、スライドガラスに貼り付ける
3.貼り付けた組織片を特殊な色素を使って染色し、病理医が観察する

しかし、近年の写真撮影技術、デジタル技術の進歩により、顕微鏡を通して撮影された組織片の画像を保存してモニターで観察したり、インターネット回線等を用いて転送し、他のモニターで閲覧することが容易になりました。さらにこの方法を使って遠隔地にいる病理医に画像を観察して診断を依頼することも可能となっています。これを総じて「遠隔病理診断(テレパソロジー)」と呼びます。
現在でも技術は日進月歩で進み、組織断片全てをデジタル画像として取り込んでコンピュータ上で合成する、またはモニター上で切り口の場所や倍率を自由に変えながら観察できるようにもなっています。

この遠隔病理診断の技術が求められる背景には、病理医不足による慢性的な問題が潜んでいます。病理医不在の病院が非常に多いため、検体は衛生検査所や大学病院の病理学教室に発送して診断を待つといった措置を取らざるをえません。結果、時間や手間、人手、経費が多くかかり、医療の質の低下につながります。「いかに診断を遅らせることなく素早く的確な医療提供ができるか」が昨今の大きな課題となっているのです。

病理医不在の病院・医院で遠隔病理診断を行う方法

病理医は非常に「限られた人材」です。病理医専門医は2020年11月の時点で2620人に留まり、深刻な不足化が問題視されています。」2016年のデータによると、全国の約8400病院中、28.5%に当たる202の病院で常勤の病理医が不在となっています。
参考:地域医療に“どこでも”で,希望を創る 病理医相互支援の新しいかたち

この深刻な問題を解決するのが、遠隔病理診断です。病理医不在の病院・医院が増える中で、遠隔病理診断を行う方法について、詳しくご紹介いたします。

検体を画像化しインターネット回線や衛星回線で転送する

遠隔病理診断における大きな特徴として「病理画像のデジタル化」があげられます。本来顕微鏡で行っていたことを画像として処理・保存し、インターネット回線等で電送することにより、病理医が移動することなく画像を閲覧して、診断書の作成が可能となります。病理医不在の病院・医院でも、遠隔病理診断を採用することで、病理医の不在をカバーすることが可能です。
これにより、病理検査・診断の所要時間を短縮でき、診断書も非常に短時間で作成できます。

また、2019年12月に発生した新型コロナウィルスに代表されるパンデミック時にも遠隔病理診断は有効です。交通網や人の移動が制限されていても、インターネット回線が接続されていれば診断が遅れることはありません。現在と、今後来ることが予測されるアフターコロナにもマッチした方法といえるでしょう。

「病理診断報告書」を遠隔病理診断先の病理医から受領する

病理医が発行する「病理診断報告書」は、患者様の病気の「最終判断」ともいえる非常に重要な書類です。この書類も、インターネット回線等を通じてデジタル発行することが可能です。
遠隔病理診断における一連の流れは、長らく保険の適用外となっており、実用化が難しいとされていました。しかし、平成28年の診療報酬改定で、遠隔病理診断書にも保険が適用範囲内と設定されています。定義としては「保健医療機関間の連携による病理診断に関して、診療情報の提供をした上で衛生検査所と連携を行っている場合についても評価を行う」とされ、衛生検査所・病理医不在の病院または診療所・病理診断科を標榜する保険医療機関において、患者様や医療機関に負担の少ない状態で遠隔病理診断ができます。
参考:平成28年度診療報酬改定にて | 淀屋橋クアトロアールクリニック

今後も病理医不足は続いていくとされているため、遠隔病理診断の需要はさらに伸びていくことが予測されます。

検体のデジタルデータは厳重に保管しておく

検体をデジタルデータ化することで、ほぼ永久的な保存ができます。検体そのものも保存しておく必要がなく、場所も取りません。また、予後の確認にも使われ、治療前と治療後にどのような変化があったのかも如実にわかるようになります。
この検体のデジタルデータが漏洩しないよう、しっかりとしたセキュリティ管理の下で保管しておくことが大切です。デジタルデータは「物体」ではないため、ハッキングや第三者によって簡単に閲覧ができてしまいます。そのようなトラブルがないよう、厳重かつ安全なセキュリティ体制を整えておくことが大切です。

遠隔病理診断のことなら、弊社リバース大阪パソロジーセンターにご相談下さい!

弊社リバース大阪パソロジーセンターでは、保険医療機関「淀屋橋クアトロアールクリニック」と連携することにより、遠隔病理診断の提供を行っております。
病理医が不足し、今後も減り続けている中で、検査センターや病院、診療所の病理診断支援を全力でサポートさせていただきます。
また、遠隔病理診断には医療支援クラウドサービス「LOOKREC」を利用しております。高いセキュリティとフレキシブルなサービスで多くの利用者様からご好評をいただいております。遠隔病理診断のことなら、ぜひ弊社リバース大阪パソロジーセンターにご相談下さい。

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