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病理診断の最先端!病理診断領域のAIプログラムについて

近年、多くの分野で「AI」が注目されています。その影響は病理診断にも及んでおり、深刻な問題となっている病理医不足の解消に役立てられるよう、様々なシステムやソフトの開発が進んでいます。

「病理診断」と「AI」はどこまで進み、どこへ進んでいくのでしょうか。今回は病理診断の最先端ともいえる病理診断領域のAIプログラムについて詳しくご紹介いたします。

不足している病理医と今の日本とのつながり

2023年2月現在で、日本の総人口は1億2463万人です。

(参考:人口推計(令和4年(2022年)10月確定値、令和5年(2023年)3月概算値) (2023年3月20日公表)|総務省統計局)対して、医師と呼ばれる立場にある人は32万人前後いますが、病理医は全国でも2300人程度しかいません。計算上では、5万5000人近くの病理診断を一人で行わなければならない計算となります。

病理医は、臨床医と連携しつつ、疾患を診断するための中核的存在として、医療チームの中で貢献しています。さらに、日本は世界でも有数の「ガン大国」です。日本人は90万人のガン患者が常にいる計算となり、病理医一人あたり391人の患者の病状を把握することが求められる危機的な事態となっています。

先進国の中でも日本人のガンが多いのは、高齢化のスピードが速いことが原因としてあげられています。

日本でガンが最も多く発生するのは、団塊の世代が80代後半に入る2030年~2035年前後だとされており、病理医不足の対策が急がれています。

病理医不足を補えるか?病理診断のAIプログラム

一口に「病理診断のAIプログラム」といっても、多角的な視点と開発が必要となります。病理診断は患者さんが持つ疾患の「最終診断」となるため、慎重かつ正確に進めなければなりません。

ここでは、病理医不足を補うべく開発され続けている、AIの詳細や病理診断のAIプログラムの詳細についてご紹介いたします。

AIとは?

AI(人口知能)とは、1940年代に提唱された概念の一つで「人間が行う認知や判断といった機能を備えたコンピュータシステム」と考えられています。昨今のAIは、データから機械が自動で学習し、データの背景にあるルールやパターンを発見する「機械学習」ですが、大量のテキストデータを分析する「自然言語処理」、統計学やデータサイエンスなどの領域も含んであり、互いに重複しながら進化を遂げています。この技術はロボット工学や社会知能等多岐に渡って応用され、特にこの10年間で飛躍的な進歩を遂げました。

病理診断AIの開発は進んでいる?

病理診断AIに関しては、まだ研究段階ではあるものの、様々なプログラムソフトや論文報告が行われ、意欲的に開発が進められています。例えば、リンパ節にガン病巣を検出するプログラム、胃生検等で悪性を含む検体をマーキングするプログラム等は、ほぼ実用段階に到達しています。また、細胞診においては、プログラムをサーバ内に組み込んでサーバごとシステムとして販売する「病理人工知能AI自動解析サーバ(研究使用限定)」を提供する企業も出てきています。

しかし、実際に医療の現場で活用する「医療機器」として、承認された病理診断AIはまだありません。

これには、ある施設で開発された病理診断支援AIが他の施設で十分に性能が発揮できない等、複数の欠点が発見されているためです。結論としては「病理診断AIの開発は進んでいるものの、実用段階にまでは至っていない」というのが現状としてあげられます。

病理診断AIを導入するには

一般社団法人、日本病理学会が作成した「病理診断支援AIの手引き」には、以下のような記載があります。

【病理診断支援AIを導入する際には、様々な症例を網羅した少なくとも60症例の自施設症例を用いて、病理診断AIの解析結果とガラススライドを用いた診断の二者(必要であれば病理診断支援AIに入力した画像データを含め三者)を比較する検証実験を実施し、その違いについて十分に検証を行うのが望ましい。複数の機能やタスクを有している場合は、機能毎、タスク毎に検証を行う必要がある。】

(参考:病理診断支援AIの手引き|一般社団法人日本病理学会

病理診断AIは、解析結果に100%を求めることはできません。また、機械学習では多数のデータがより尊重され、少数データが反映されにくいという特性があります。

しかし、病理医不足の中、AIによる支援や診断が求められているのは事実です。今後、技術の進歩と共に、病理医をサポートする病理診断AIが続々と開発されていくでしょう。

AIが病理医に代わっていくことはあるのか?

上記でご紹介したように、病理診断のAIは目覚ましい速度で進歩と開発が進んでいます。ただし、現在開発されているAIは極めて狭く、決められた範囲のみ判断可能ですが、多種多様な疾患を診断する病理医の役割に置き換えられるものではないと考えられています。

例えば「胃がんの有無を判断する」という単純なものであれば、AIは精度の高い結果を出すでしょう。しかし、胃には悪性リンパ腫や線がん、転移の可能性等複数の疾患があり、基本的に二者択一での判断はできません。そのような症例において、AIは未だ不正確で信頼性に欠ける面があります。

病理医は、人でしかできない「臨床医とのコミュニケーション」を通じて患者さんの状態を的確に把握し、臨機応変に対応していく必要があります。アメリカでは「病理診断を担う病理医の頭の中を俯瞰するようなAIは未来永劫作ることはできない」という宣言が出されているほどです。

どれだけAIが進歩しても、病理医の必要性が消えることはありません。上手く「共存」し、さらに正確な病理診断を行うということに、AIは大きな力を発揮していくのです。

病理学的検査に自信があります!リバース大阪パソロジーセンターにご相談下さい

弊社では「病理学的検査のエキスパート」として、様々な病理学的検査サービスを提供しております。

具体的には以下の通りです。

  • 病理組織検査 (手術摘出材料・一般生検材料・針生検・剖検材料・実験動物材料)
  • 細胞診検査 (細胞検査によるがん検診含む)
  • 免疫組織・細胞化学検査 (酵素抗体法・蛍光抗体法など)
  • 病理学的研究関連資料 (標本作製・染色・顕微鏡写真撮影など)
  • 至急生検組織検査 (消化器など / 48時間以内に組織検査報告します)
  • 術中迅速診断検査 (クリオスタットによるFrozen Section)

また、病理医不足が不足し、今後も減り続けている中で、検査センターや病院、診療所の病理診断支援を行い、サポートいたします。病理診断科標榜する保険医療機関「淀屋橋クアトロアールクリニック」との提携により、連携病理診断も可能となっておりますので、ぜひ病理診断の受託としてご利用下さい。

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